ツイステで創作意欲を手にした話

まず、この文章はただの自分語りであることを前提としてお読みください。はてブロ慣れてないのでただただ文章を書き連ねただけ。

 

 

腐女子なのでそう言う話もします。

 

 

1.ツイステにハマった経緯

 

元々熱しやすく冷めやすいタイプで、漫画も今までがっつりはまれたのって2作品くらいしかないし、ソシャゲなんてもってのほかだった。今でもTLで見ない日はないようなものも含めてありとあらゆるゲームを2ヶ月以内にやめていた。だからtwstは私の中でものすごく稀なケースで、毎日欠かさずログインしてる時点で異質。正直怖い。気づいたら人生初の課金までしてた。クレカこわ〜い😣


そもそもの話、私は大学生になったらヲタクをやめる気でいた。Twitterのアニヲタ垢も本当は消すつもりでいた。中学のときにリア垢兼用で作ったもので、復活沼aph沼を泳いできた思い入れのある場所だったが、高校は校則やらなんやら厳しくかなり忙しい部活に入ったのもあって、3年間はロクに稼働していなかった(期間指定して検索してみれば分かるけど1年間で3ツイートとかしてなくて戦慄した。むしろ何の3ツイートだったんだ)

そんな訳で、実を言うとこの3年間でアニヲタ人格がだいぶ息を潜めてしまった。そのまま松沼に浸りつつズルズル引きずったまま大学に進学、と同時にキスマイにどハマり。元々ヲタク気質なのもあって、何にもハマっていなかった私が何かのコンテンツにどハマりするのはまあ当たり前だった。ここで私は別垢を作りそちらを稼働し始めた。次第にこの垢を忘れていった。

 

2年ほどはキスマイ沼でぬくぬくしていた。このはてブロも、見てもらえれば分かると思うが他2件の記事は舞祭組の舞台の感想だ。最高だった……。もちろん今でもゴリゴリのキス担をしている。シングルアルバム円盤、発売のたびに3形態でフラゲしては家でニヤニヤしているしコンサートももう何公演も行った。今年もオーラス含め行く予定だった。そう、だった

今年のコンサートツアーは3月から始まる予定だったのだがコロナ禍で出来るはずもなく。全公演中止となり私も飛行機ホテルをキャンセルして……思い出すだけで泣けてくる。

ただそう、察しの良い方はもうお分かりだろう。これが私がツイステにどハマりした理由のひとつである。

 

供給が一気に無くなった私のトップオブ推し。そんな中ツイステがリリースされた。友人の勧めで事前登録していた私はリリース日にインストール、即始めた。そしたらなんだこれ、は、かっこよくね??????

 

ちょっと待ってくれオープニングの時点でかっこよすぎるだろ元々アニヲタなんだ刺さらない訳がなかった。てか、え?枢さんなの……?(それすら知らなかった)

 

いやしかしそういったゲームは今までもあった。(グリモアも最初はそうだった。)まだわからない、まだ、まだ……

 

わあラギーくんかわいい〜〜〜☺️☺️☺️☺️

 

……あれ?

 

ラギーくんの制服レオナさんのお下がりなんだぁ〜〜〜☺️☺️☺️☺️

 

 

……あれあれ?

 

ちょっとTwitterで調べ……
レオラギ〜〜!!!!

 

 

はい見事な沼落ちでございます。

二次創作に手を出したヲタクはもう無理だ、簡単には抜け出せねえ。

 

2.創作の開始

気づけば私もTwitter上で創作を始めていた。そしてまさかのプチバズりをした。

まあこれは創作というほどの創作でもなく、経緯をみてもらえればわかるがただドルヲタの私が拗らせただけなのである。ちなみにディアソがいないのはカード実装前だったからだ。いつかやりたいなとは思っている。

今までの私といえば、ふぁぼが1件でもくれば万々歳、8件で大感謝祭。今でももちろん1件1件の重みは噛み締めているが、当時はもっと大切に大切に受け止めていた。

そんな私が急に4000ふぁぼも来て衝動を抑えられると思いますか?いやできない。

 

気づけば数年ぶりに筆を取っていた。

 

久しぶりすぎて文章の書き方なんて分からない、見切り発車で正直何が書きたいのかなんて自分でもわかってなかった。でも書きたかった。

気づけば約8000字のレオラギ小説が一本完成していた。

 

今までだって支部に作品を投稿したことはあった。aphに限っては小説も絵も載せていた。でもブクマは0が当たり前。そりゃそうだ面白くなかった。

 

ただこのレオラギは、久しぶりの創作は、思っていた以上に評価された。

正直今読み返すと目も当てられないような拙い文章だ。情景だって一歳目に浮かびやしない。それでも評価してくれる人がいた。内容をちゃんと読んでくれる人がいた。

 

それがなによりも嬉しくて、幸せで。

 

私は今までにないくらい創作にのめり込んでいった。

その日の夜にはレオラギをもう一本載せていた。人生初のR18作品。これも書き方なんて分からないし手探りだったけど、評価をしてもらえたのだ。こんなの初めてだった。純粋に母数が多いからだとかそういう意見だってあるかもしれないけれど、私は評価0件が当たり前の世界を生きていたんだ喜ぶよそりゃあ!!!!

Twitterでも繋がってくれる人が増えて、色んな話をして、私の創作を絵にしてくれる人が現れて、サークルもできて……いつかバチが当たるんじゃないかってくらい幸せなのだ。

 

元々マイナー沼に落ちやすい性格も相まって、私はその後ラギアズ沼に落ちた。ラギブチの式典服パソスト読めば全てが分かります。

そんなこんなで文字書きとしての魂を定着させた私が書かないはずがなく、とりあえず一旦市場調査としてTwitter支部で検索。

 

……いなくね?????

 

Twitterはポツポツいたが正直私が公共の図書館で大騒ぎしているような状態、支部に関しては0件。

だがそこで落ち込む私じゃない。

 

だって私は文字書きだもの!!!!!!!!!!

 

ここで言う1件目がラギアズのことです。R18作品ですが。

 

マイナーだったので評価は期待できないかなと思いつつ、もう衝動で書いてしまったので載せました。

そうしたら、「あなたのお陰でラギアズにハマりました」とかマシュマロをくださる方がいて、ああ書いてよかったな、って。私文字書きしてていいんだなって思えた。

 

創作にのめりこんでからはもっとキャラの解像度を上げようと、自分用に呼称表作ったりユニーク魔法まとめたり、パソスト何回も読み返したりして、必然的にゲーム自体にも更に落ちていった。イベはくるわガチャはくるわで正直金はないが楽しくて仕方ない。オンライン授業中にもツイステの授業回してるのは秘密である。

 

そんな中、もう一つ金がなくなる出来事があった。

 

3.イベント参加

 

10月11日、スパーク。人生初のイベント参加だった。

仲の良いメンバーと前泊もしていざ会場へ。

 

これがイベントの空気か!!

 

入場で少々手こずったが、大尊敬する文字書きさんの本を早速手に入れ、こっそり寄稿していたレオラギプチのアンソロを手にし、ルクフロ屋さんを巡ってルクラギを表紙買いして……。

文字書きなのに語彙力がないのでこうとしか言えないのだが、楽しかった!!!!!

本当に好きな作家さんを目の前にすると言葉が出なかったこと、年齢確認で出した免許証を持つ手が人見知り緊張のせいでクソほど震えたこと、全てがいい思い出である。気づけば帰りの電車賃も危ういくらい買っていたのもいい思い出だ。

 

そして実はこのイベント参加にはとある目的があった。

私は1月10日のインテに初めてサークル参加する。他のメンバーと一緒に、計6人で。みんな初心者だし、下見も兼ねてこのスパークには参加していた。

そしたらもう!早くイベントに出たい欲が抑えきれなくなってしまって!

 

 

こんな感じで着々と準備は進んでいる。メンバー全員で男監受け合同誌(R18)を作り、個人でも一冊ルクフロ本を出す予定である。

 

ここで少し私の今までの境遇の話に戻ってくる。何度も書いたように私は評価0件が当たり前の最弱文字書きだった。当時は本を出すなんて発想自体なかったくらい。

だから、今も、個人で本を出す予定はできたが全く自信などない。誰も買ってくれないんじゃないか、私の文章に需要などないのではないか、そもそも面白いのかこれ?などなど……。

あまり卑下しすぎると評価してくれている方に失礼なのでなるべくポジティブに捉えようとはしているが、やはり人生初なのもあって不安が拭えないのだ。10部刷れば十分かな、と言ってサークルメンバーに諭されたりもした。

そうやって悩んでいたところに、こんなマロが届いたのだ。

(問題あったら消しますごめんなさいマロ主さん)

 

一瞬「ん?何が?」と思う人もいるだろう。だが私は本当に泣きそうなくらい嬉しかった。

前から繋がっていた相互にはもうあらかた声をかけ終わっているし「買うね!」とか言ってもらっている。だから、つまりこのマロは、私が声をかけていないが買おうとしてくれている誰かからのマロなのだ。

私の本を買おうと自ら思ってくれている人がいる。その事実で私はご飯5杯はいける。

書いてもいいんだ、本を出してもいいんだ、私でもイベントに出ていいんだ。

ここ最近ずっと悩んでいたのが嘘のように晴れやかな気持ちになって、私は本気で1冊作り上げることを決意した。実を言うと内容はとっくの昔に決まっている。あとは書くだけなのだ。

部数どうするか、印刷所どこにするか、とかまだまだ考えなくちゃいけないことはたくさんあるけれど、ひとまず誰かが手に取ってくれるのが分かっただけで見切り発車でも進んでいけそうだ。

 

もう一度筆を取ってよかった。

 

 

 

 

special thanks 通販マロくれたあなた様

 

人生初の本、喜んでくれたらいいなあ。

 

まる末舞台 海side

先日海公演も観劇して参りました。

両公演とも見られた私には今回の件についてあれこれいう資格はありませんが、とにかくより多くの方がこの舞台を見られますように。それだけを願っております。


※以下海月両方ともネタバレしています。

 

 

 

 

 

今回は月との比較をベースに書いていこうかと思います。

全体的に私の解釈ベースで話を進めますので、解釈違いはなんかもうすみません。持論を展開したいだけの自己満ブログなので...。

 

海を見て感じたのは、メンバーの分け方はこれじゃなきゃいけなかったんだ、ということ。

これが弟同士が入れ替わったりしていたらうまくバランスが取れなかったんじゃないかとおもう。全く同じシーンでも、千賀くんのひさしよりもニカのひさしの方が感情の起伏が小さく、怒りベースな感じがした。

千賀くんのひさしが苦しんでいるのに対して、ニカのひさしは諦めているような。どちらも苦しんでいることは確かなんだけど、千賀くんは感情がごちゃごちゃになって今にも泣き出しそうで、逃げたくて。ニカは全てを諦めて、でも自分や他人への怒りが消えなくて、、私にはそんな風に見えた。

対して敏幸達は、最初の選択によって描かれ方が全く変わってしまったので比較が難しい。

 

海では、お父さんが出て行った理由、敏幸が抱えていた闇が語られる。

父がなぜ出て行ったのかを告げる前、敏幸がそのことに対する気持ちを吐露した。

「自分は母の連れ子で、本当は父とは血が繋がっていない。その上目も見えなくなってしまったから、それに愛想を尽かせて父は出て行ってしまった」と思っていたのだ。

この時私が思い出したのは、二人の幼少期の大喧嘩のシーン。なぜあそこまで敏幸がひさしに対して怒りを露わにしていたのか。(宮田くんが怒鳴ったの初めて見た(聞いた?)から「お前さえいなければ!!」って台詞が今でも耳に残ってる。)

月では「敏幸は父に気に入られようとして」という語られ方しかしなかったので、海を見てようやく合点がいった。

敏幸は、自分は血の繋がった息子じゃないから、父は自分のことが嫌いなんだと思っていた。だから勉強も写真も頑張った。なのに、父と血が繋がっているのに両親に迷惑ばかりをかけるひさしが気に入らなかった。いや、嫉妬していたのかも知れない。

父は、「そんなことない!」と悔しそうに否定した。そんな風に思わせてしまっていたのか、と。父は敏幸もひさしも平等に愛していた。彼はそんな愛する家族の為に家を出たのだった。

 

まだ家にいた頃、敏幸が酔っ払いに絡まれて白杖を遠くに投げ飛ばされたりしている様子を目撃してしまった。それに怒った父は、その酔っ払いに暴行し"殺して"しまった。

このままでは愛する家族が「殺人犯の家族」になってしまう。それ恐れた彼は、家を出た。

結局その後耐えられなくなって自首したが、遺体は発見されず、警察の見解では「脳震盪を起こしただけだろう」とのことだった。

 

これを聞いて、敏幸はようやく救われたのだ。父は自分を嫌ってなどいなかった。父が家を出た理由は自分ではなかった。これにより敏幸の盲目ということに対するコンプレックスはほぼ消えたのではないだろうか。

 

この流れで、ひさしは敏幸を押したのは自分だと告白した。宮田くんの敏幸は戸惑いつつも怒りを見せることなくひさしを許した。それはきっと、盲目であるが故に父が出て行ってしまったんだという、ずっと抱え続けていた罪悪感の様なものが消えていたからなんだろう。

横尾さんの敏幸は、父が出て行った本当の理由は知らない。だからきっと、その罪悪感は消えることはなく、ひさしが罪を告白した時に怒りを露わにした。

 

他にも海と月の違いはある。先程の大喧嘩のシーンだが、敏幸がひさしを叱りに部屋に入ってきたときのひさしの反応が全く違った。千賀くんは不機嫌そうにイライラしながら話を聞いていたが、ニカはあまり真面目に聞いていなかった。「カメラの腕は俺の方が上だし」という時、千賀くんは少し怒鳴ったのに対し、ニカは「カシャカシャカシャ〜」と写真を撮るフリをしてふざけた。宮ニカが兄弟喧嘩っぽいのに対して横千の方が殺伐としすぎていた。もちろんどちらの方が良いとかではなく、これが最後にひさしを許す前の敏幸の反応の仕方に繋がってくるように思えた。これもある意味伏線?

 

もう一つ顕著な違いは、土地を売る時。父の再婚相手の娘であるリオンちゃんに「土地売ってお父さんの手術費工面して!」とそれぞれ言われた敏幸。彼は結局売らないことにしてしまったので、彼女はひさしにもアタック。「貴方がお兄さんを押したことをバラされたくなかったら、土地を売って手術費工面して!」と。最終的に、ニカひさしも売らないことにして自分の口から兄に真実を話した。

このシーン、もちろん売る理由が月が「敏幸の目の手術」であるのに対し、海は「父の病気の手術」だから全然違うのは当たり前なんだが、海の敏幸は弟に嘘を吐いた。「海外で写真の勉強をしたいから、お金が必要だ」と。

そうか〜嘘吐くのか〜......。土地を売ることになって海月ちゃんにラーメン屋出て行って欲しいと言った時も、真実は話さなかった。言ったら彼女は首を縦に振るしかないと分かっていたからなんだろう。結局土地を売るのは辞めた。

 

あれ、宮ニカ兄弟は二人とも似たような選択を迫られたのか。宮田くんは「土地を売る本当の理由を話すか、話さず土地を売らないか」、ニカは「敏幸を押した犯人は自分だと話して土地を売らないか、話さず土地を売るか」。敏幸は「真実を隠して土地を売らなかった」。ひさしは「真実を話して土地を売らなかった」。...だからといって何か上手いこと言えるわけじゃないですが、すげえ作り込まれてるな、本当すごい舞台だなと改めて感じた。

 

月では、敏幸は父が出て行った理由は自分だと未だに思い続けて生きていくのだろうけど、目が見えるようになったことで段々薄れていくんじゃないかな。自分と同じ悩みを抱えることになった妻を支えながら、きっとあの後もカメラマンとしてのキャリアを築いていく。

ひさしは、ようやく自分が抱えていた一番大きな闇を消すことができて、片想いしていた相手と付き合いながら一緒に働いて、きっと幸せになっていく。

 

海では、敏幸も抱えていた闇を消すことができて、きっともう目が見えないことへの罪悪感もなくなっただろう。カメラマンとしてのキャリアは一度白紙になってしまったけど、彼ならきっと、片想いの相手と一緒に前向きに生きていける。

こちらのひさしも同様に罪を告白したことで心の闇を消し、片想いの相手とは結ばれなかったが、父や妹、兄とともに、幸せな人生を歩んでほしい。

海のひさし、片想いしてた相手が同僚になって義理の姉になるかも知れなくてなんかちょっと切ない。幸せになってね、、!!

 

 

一番可愛かったのはカテコだよね〜〜!!

海では最後宮ニカがテーブルに向かい合って座った状態で終わるけど、カテコの音楽始まると宮ニカで一緒にリズムに合わせて指パッチンしててつい可愛い〜〜!!と会場で行ってしまいました。周りにいた方失礼致しました。

 

宮田くんの「手繋いでくれなきゃ話せない💕」もくっっそ可愛かったし、てか海っていつもトークあったの!?月一言も喋んなかったからそういうもんかと思ってたら喋るしは〜〜多幸感!!!!!!まあこの辺のレポはツイッターにゴロゴロあると思うので皆さん検索してみて下さいね!!

 

とにかく本当に素晴らしい舞台でした。実はちゃんと自分でチケットを取ってお金払って会場へ行って見る舞台というのはこれが人生で初めてだったので、初めてがまる末で良かったと心から思いました。

先に行った方々の「どっちも見たほうが良い」という言葉、海を見て本当だなと思いました。それぞれの舞台でスカッとジャパンレベルで伏線回収してスッキリ爽やかに見終えることはできるんですが、海を見て知ること、月を見て分かること、海と月が互いに補い合って完成する舞台だなと。航海では月の位置で時間を把握しますしね、きっとそういうことなんだと思います(どういうこと?)。星だっけ?それは方角か。

 

そんな感じなのでとにかく円盤化を頼みます。お願いします。もっと多くの人にこの舞台を見てもらいたい。

 

様々な願いを込めて。ぱにたん。

 

まる末舞台 月side

初めてブログというものを書きます。RIDE ON TIMEを見て我慢の限界がきてしまった。

ちなみに当方ゴリゴリの横尾担。元々アニヲタで、成人済みですが中二病抜け切れてないのでそういう感じの語り口なんだろうなって思っててください(?)

ですます調とだである調も入り混じって書きたいように書いてるので、読みづらいかも知れませんがその辺はごめんなさい。

 

※月sideがっつりネタバレしてます。物語の核心部分にも言及しています。

 

 

 

 

ROTを見て

まず舞台セットは語彙力がなくて解説し切れないので、RIDE ON TIME(リンク飛びます)を見てください。というかこれを見て思ったことをメインに感想を書いていきます。

 

自担、横尾渉さんの役は、盲目のカメラマン。「目の不自由な方へ音の出る信号機を」というコンセプトで行われている、ラジオ・チャリティ・ミュージックソンのメインパーソナリティを2年連続でグループで務め、「わったー写真館」という自身の有料ブログで毎日写真を投稿している彼。ぴったりな役なんじゃないかと思った。

盲目でありながら、劇中でも写真を撮る場面がある。

 

ちなみに、この被写体モデルのアイラちゃん(役名)という女の子がめちゃくちゃ可愛い。役では女子大生だが本当は現役JK。横尾さんと並ぶと横ももみたいで可愛い。(横ももはこちら)

脱線しましたね。横ももが好きなんです。はい。

 

劇中で彼は、被写体に声を出してもらって位置を把握し、カメラを首にかけたまま胸元でシャッターを切る。「盲目の役だからな」と私はその動作を全く気に留めていなかったのだが、2/21放送のROTを見てハッとした。

横尾さんは監督に、「シャッターを切るときカメラを構えるか、構えず首にかけたままにするか」という旨の相談をしていた。

そうだった、横尾さんの演じる笑原敏幸(29)は13歳までは目が見えていたし、当時は普通にファインダーを覗いて写真を撮っていたのだ。それに、盲目だからと言ってカメラを構えないとは限らない。横尾さんは、自分でも盲目のカメラマンについて調べながら、模索して「構えずに胸元でシャッターを切る」という結論に達したのだ。

私のように、先入観で行動を決めつけてはいなかった。こんな何気無い、といったら違うのかも知れないけれど、たったひとつの動作にも気を遣って悩んで悩み抜いた末にあのカメラの使い方をしたのだ。そんな彼の仕事への向き合い方が好きだ。大好きだ。勉強家で、努力家で、その面はこういうドキュメンタリーでしか見せることがない彼のことが好きだ。

その後も、椅子で躓いたり、階段を踏み違えたり、白杖なしで外に飛び出して盛大に足を引っ掛けてすっ飛んだり。あれは、目が見えている状態でやるのは勇気がいるなと思った。"横尾渉"は見えてるのに躓かなきゃいけない。"笑原敏幸"は見えないから、足を引っかけた先を見るのは不自然。だから目線は明後日の方向を向いたまま。見えてる状態でこれをやるのは怖いし、相当な演技力が必要なんじゃないかと思った。滑舌云々は抜きにして、彼の細かい部分の演技力には脱帽せざるを得ない。

 

そんな笑原敏幸の弟の笑原陽左志役を演じる千賀くん。ROTで主に取り上げられていた、「僕は幸せになっちゃいけない」という台詞。劇中でこの台詞が出てくるタイミングでは、観客もまだ何故こんな闇を抱えているのかは知らない。

1階のラーメン屋での飲み会で、「ひさしくん彼女いないんでしょ?作りなよ〜!」みたいに言われた流れで、あの台詞がくる(はず)。飲み会の楽しい雰囲気を微かにまといつつ、少し投げやりな感じも、苦しそうな感じも出しつつ、2、3度「幸せになっちゃいけない」と呟く。私も苦しくて仕方なかった。「幸せになっちゃいけないんですよ!!」と怒鳴ったりするのではなく、少し微笑んでいるひさしくんが、切なくて仕方なかった。なんでこんな事を言うのだろう。

 

一度この場面は置いておいて、とある場面の話を。1階のラーメン屋の店主の一人娘である海月(みつき)ちゃん。敏幸は、彼女に恋していた。このことを、彼は弟のひさしに打ち明けていた。「おれ海月が好きなんだ。想いを伝えたらうまくいくかなあ?」と。ひさしは少し戸惑ったあと、絞り出すように「うまくいくよ」と答えていた。この時は、「あ、きっとひさしくんも海月ちゃんのこと好きなんだろうな...」としか思わなかった。

てかこのとき窓辺に座って外を眺めてひさしが「いい天気だね」、敏幸「いい天気なんだろうね、いい匂い(?)がする」ってやりとりをしてたんだがこの座ってる横尾さん死ぬほどかっこいい。

 

その後、敏幸は海月に告白するが振られてしまう。そしてそれをひさしは盗み聞きしてしまう。このとき、ひさしは「まじで!?俺ワンチャンあるかも!?」みたいな顔は一切しなかった。ひさしも戸惑ったような顔をしていた。

この後も、ひさしが海月に告白する事はなかった。何でだ?少女漫画とかだったら、「あいつの事好きじゃないんだろ、だったら俺で良いじゃん」みたいなこと言いそうなシチュエーションなのに。少女漫画読んだことないから知らんけど。

この後、すべての謎が解けることになる。

 

敏幸の目が見えなくなったのは、廃墟からの転落事故が原因。転落した際に目をぶつけてしまったのだ。海外の最新医療でなら治せるかも知れないが、コネと金がなければその手術を受ける事は叶わなかった。そして、この事故はひさしによって引き起こされたものだった。ひさしが、敏幸の背中を押して突き落としてしまったのだった。

 

そうか、だから「幸せになっちゃいけない」と言ったのか。だから献身的に兄を支え続けた。

幸せになる資格がないと思っていたから、海月に告白する気は元々なかったのかも知れない。兄が振られたときのあの反応は、「海月が敏幸のことを好きでいてくれたら、二人が付き合ってくれたら俺は海月のことを諦められたのに」という想いの現れだったのかも知れない。

実らせる気のない恋を諦めきれないのはどれだけ苦しいか。兄が振られたことで、少し期待してしまう自分もいただろう。その状況に喜べないのが、どれほどしんどいか。

そして更につらいのが、海月は本当は敏幸のことが好きだった、という事実を知ったとき。この気持ちは海月が直接敏幸に打ち明けた。その場にひさしはいなかったからきっと彼は知らないのだろうけど、見てるこっちとしてはしんどすぎて仕方なかったよ。どんだけひさし報われないのよ。敏幸も振られて死にそうな顔してたんだからね......。

 

役者魂

横千それぞれのROTを受けての感想は以上として、次は二人が絡むシーンについて。

 

ひとつ目は、回想シーンの大喧嘩。ひさしが敏幸を突き落とすきっかけとなった喧嘩だ。

写真の腕がどうのみたいな感じだったのだが、セリフはほぼ覚えてない。本当に恐怖を感じるほどの大喧嘩だった。胸ぐら掴み合って揉み合って、敏幸に突き飛ばされて仰向けに倒れるひさし。敏幸は「ふざけんじゃねえ!」的な事を最後に言うのだが、

大声の罵声3連発の横尾さん怖すぎ。

まじで怖いあんな怒鳴られたら怯むしかない。ひさしは地面に倒れたまま、「くそっ!!!」と地面を殴る。恨みを込めた叩き方だった。殺伐としてた。

 

ふたつ目は、二人の役者魂(?)を見せつけられた、ひさしが敏幸に、事故の日に押したのは自分だと打ち明けるシーン。

このとき、千賀くんは本当に涙をボロボロ流して首とか真っ赤にしながら兄に土下座をした。

敏幸は、怒りをあらわにした。どこにもぶつけようのない怒りを、カーディガンを震えるほどに握りしめ、鎮めた。なんとも言えない悲しさと怒りと戸惑いが混ざったような表情をしていたが、ふっと力を抜いて、微笑みながらひさしに向かった。

ひさしに触れようとするが、多分お辞儀状態(言い方)だと思っていたのか伸ばした手は高く空を切る。徐々に手の位置を下げていって、ようやくひさしに触れる。「頭上げろよ」と、ひさしの腕を掴んで持ち上げる。真っ直ぐ立たせて

「16年間、ずっと苦しい思いしてたんだな」

とひさしを抱きしめた。

なにがしんどいって、横尾さんの目にも涙が浮かんでいたのだ。その涙が頬を伝うことはなかったけれど、彼の目には今にも溢れそうなほど涙が溜まっていた。

この直前に、彼は目の手術をするためのコネを手にしていた。もしこの話がなかったら?もしかしたら、敏幸はひさしを許さなかったかも知れない。後々許すことになったとしても、こんな風に抱きしめることは出来なかったかも知れない。

 

最終的に、敏幸は目が見えるようになってひさしは海月と結ばれて、他のみんなもオールハッピー☆という感じでホッとした。苦手なハッピーエンドのタイプではなく、因果応報というか、納得の行く終わり方だった。

 

 

海と月について

この作品は、たったひとつの選択で人生は変わる、ということを平易に表している。伏線もすべて回収し切って終わるので、観終わったときはなんのモヤモヤもなくスッキリしていた。

しかし、家に帰ってからふと疑問に思った。

何故"海"と"月"だったのか。

スケジュールに書き示す際に名前が付いていた方が分かりやすいから?いやだとしたら綺麗すぎる名前ではないか?意味深すぎないだろうか?

と思い、月しか見てないので月の考察しか出来ませんが自分なりに考えてみました。

 

周知の通り、月は自ら輝くことはない。

日が当たらない間は陰ってしまう様を盲目、日が当たって輝く様を目が見えるようになったことを表しているのか?

ひさしくんが罪悪感で病んでいたが、兄に許されたことでようやく明るくなれた様を月に例えているのか?

それとも、夜の闇(兄の盲目、弟の罪悪感、アイラの失明)を月が照らす(目が見えるようになる、兄に許される、敏幸が目となって支える)様を表しているのか。

それなら太陽でもいいじゃん、と思ったが、太陽はずっと明るく、暖かく輝いているんだ。月の満ち欠けや、冷たさが大事だったのではないか。

 

ならば海は?レポを読んだわけでも観劇したわけでもないからどんな結末かは知らないので完全なる想像だが、海は父に会ってアイラと出会わない世界。つまり、敏幸の目が治る事はないのだと思う。では、ひさしは?目が治ることがないのなら、犯人が落とした帽子を持っている兄がその帽子を見る事は一生ない。黙っていれば絶対に自分が犯人だとバレる事はない。しかしそれではひさしの闇が晴れる事はないのではないか?月がこんなハッピーエンドなのに海でそんな闇抱えたまま終わるか??

海のイメージといえば、広い、青い、冷たい、満ち引きなどだろうか。すべてを飲み込んでしまう怖さもある。プラスに考えれば、すべてを"受け入れる"。

兄は弟を"受け入れた"?許すと受け入れるは少し違うもののように思える。父と出会って明かされる真実が、海から連想されるようなものなのか?

 

...なぜ見てもいない公演の考察などしているのかと言うと。

とあるご縁があって、海sideにも足を運ぶことができることとなった。父に会いに行った彼らの末路とは....。

 

正直別サイドの公演をここまで見たくなるとは思っていなかった。素晴らしい作り方だな、監督の掌の上で踊らされているような笑

 

長ったらしくて読みづらいものをここまで読んでくださってありがとうございました。横尾さんの役との向き合い方、千賀くんの苦しそうな演技の理由、何故月という名前だったのか、が書きたかっただけなのにこの文字数。精進いたします。面白くて読みやすい文章を書きたいな。