まる末舞台 海side

先日海公演も観劇して参りました。

両公演とも見られた私には今回の件についてあれこれいう資格はありませんが、とにかくより多くの方がこの舞台を見られますように。それだけを願っております。


※以下海月両方ともネタバレしています。

 

 

 

 

 

今回は月との比較をベースに書いていこうかと思います。

全体的に私の解釈ベースで話を進めますので、解釈違いはなんかもうすみません。持論を展開したいだけの自己満ブログなので...。

 

海を見て感じたのは、メンバーの分け方はこれじゃなきゃいけなかったんだ、ということ。

これが弟同士が入れ替わったりしていたらうまくバランスが取れなかったんじゃないかとおもう。全く同じシーンでも、千賀くんのひさしよりもニカのひさしの方が感情の起伏が小さく、怒りベースな感じがした。

千賀くんのひさしが苦しんでいるのに対して、ニカのひさしは諦めているような。どちらも苦しんでいることは確かなんだけど、千賀くんは感情がごちゃごちゃになって今にも泣き出しそうで、逃げたくて。ニカは全てを諦めて、でも自分や他人への怒りが消えなくて、、私にはそんな風に見えた。

対して敏幸達は、最初の選択によって描かれ方が全く変わってしまったので比較が難しい。

 

海では、お父さんが出て行った理由、敏幸が抱えていた闇が語られる。

父がなぜ出て行ったのかを告げる前、敏幸がそのことに対する気持ちを吐露した。

「自分は母の連れ子で、本当は父とは血が繋がっていない。その上目も見えなくなってしまったから、それに愛想を尽かせて父は出て行ってしまった」と思っていたのだ。

この時私が思い出したのは、二人の幼少期の大喧嘩のシーン。なぜあそこまで敏幸がひさしに対して怒りを露わにしていたのか。(宮田くんが怒鳴ったの初めて見た(聞いた?)から「お前さえいなければ!!」って台詞が今でも耳に残ってる。)

月では「敏幸は父に気に入られようとして」という語られ方しかしなかったので、海を見てようやく合点がいった。

敏幸は、自分は血の繋がった息子じゃないから、父は自分のことが嫌いなんだと思っていた。だから勉強も写真も頑張った。なのに、父と血が繋がっているのに両親に迷惑ばかりをかけるひさしが気に入らなかった。いや、嫉妬していたのかも知れない。

父は、「そんなことない!」と悔しそうに否定した。そんな風に思わせてしまっていたのか、と。父は敏幸もひさしも平等に愛していた。彼はそんな愛する家族の為に家を出たのだった。

 

まだ家にいた頃、敏幸が酔っ払いに絡まれて白杖を遠くに投げ飛ばされたりしている様子を目撃してしまった。それに怒った父は、その酔っ払いに暴行し"殺して"しまった。

このままでは愛する家族が「殺人犯の家族」になってしまう。それ恐れた彼は、家を出た。

結局その後耐えられなくなって自首したが、遺体は発見されず、警察の見解では「脳震盪を起こしただけだろう」とのことだった。

 

これを聞いて、敏幸はようやく救われたのだ。父は自分を嫌ってなどいなかった。父が家を出た理由は自分ではなかった。これにより敏幸の盲目ということに対するコンプレックスはほぼ消えたのではないだろうか。

 

この流れで、ひさしは敏幸を押したのは自分だと告白した。宮田くんの敏幸は戸惑いつつも怒りを見せることなくひさしを許した。それはきっと、盲目であるが故に父が出て行ってしまったんだという、ずっと抱え続けていた罪悪感の様なものが消えていたからなんだろう。

横尾さんの敏幸は、父が出て行った本当の理由は知らない。だからきっと、その罪悪感は消えることはなく、ひさしが罪を告白した時に怒りを露わにした。

 

他にも海と月の違いはある。先程の大喧嘩のシーンだが、敏幸がひさしを叱りに部屋に入ってきたときのひさしの反応が全く違った。千賀くんは不機嫌そうにイライラしながら話を聞いていたが、ニカはあまり真面目に聞いていなかった。「カメラの腕は俺の方が上だし」という時、千賀くんは少し怒鳴ったのに対し、ニカは「カシャカシャカシャ〜」と写真を撮るフリをしてふざけた。宮ニカが兄弟喧嘩っぽいのに対して横千の方が殺伐としすぎていた。もちろんどちらの方が良いとかではなく、これが最後にひさしを許す前の敏幸の反応の仕方に繋がってくるように思えた。これもある意味伏線?

 

もう一つ顕著な違いは、土地を売る時。父の再婚相手の娘であるリオンちゃんに「土地売ってお父さんの手術費工面して!」とそれぞれ言われた敏幸。彼は結局売らないことにしてしまったので、彼女はひさしにもアタック。「貴方がお兄さんを押したことをバラされたくなかったら、土地を売って手術費工面して!」と。最終的に、ニカひさしも売らないことにして自分の口から兄に真実を話した。

このシーン、もちろん売る理由が月が「敏幸の目の手術」であるのに対し、海は「父の病気の手術」だから全然違うのは当たり前なんだが、海の敏幸は弟に嘘を吐いた。「海外で写真の勉強をしたいから、お金が必要だ」と。

そうか〜嘘吐くのか〜......。土地を売ることになって海月ちゃんにラーメン屋出て行って欲しいと言った時も、真実は話さなかった。言ったら彼女は首を縦に振るしかないと分かっていたからなんだろう。結局土地を売るのは辞めた。

 

あれ、宮ニカ兄弟は二人とも似たような選択を迫られたのか。宮田くんは「土地を売る本当の理由を話すか、話さず土地を売らないか」、ニカは「敏幸を押した犯人は自分だと話して土地を売らないか、話さず土地を売るか」。敏幸は「真実を隠して土地を売らなかった」。ひさしは「真実を話して土地を売らなかった」。...だからといって何か上手いこと言えるわけじゃないですが、すげえ作り込まれてるな、本当すごい舞台だなと改めて感じた。

 

月では、敏幸は父が出て行った理由は自分だと未だに思い続けて生きていくのだろうけど、目が見えるようになったことで段々薄れていくんじゃないかな。自分と同じ悩みを抱えることになった妻を支えながら、きっとあの後もカメラマンとしてのキャリアを築いていく。

ひさしは、ようやく自分が抱えていた一番大きな闇を消すことができて、片想いしていた相手と付き合いながら一緒に働いて、きっと幸せになっていく。

 

海では、敏幸も抱えていた闇を消すことができて、きっともう目が見えないことへの罪悪感もなくなっただろう。カメラマンとしてのキャリアは一度白紙になってしまったけど、彼ならきっと、片想いの相手と一緒に前向きに生きていける。

こちらのひさしも同様に罪を告白したことで心の闇を消し、片想いの相手とは結ばれなかったが、父や妹、兄とともに、幸せな人生を歩んでほしい。

海のひさし、片想いしてた相手が同僚になって義理の姉になるかも知れなくてなんかちょっと切ない。幸せになってね、、!!

 

 

一番可愛かったのはカテコだよね〜〜!!

海では最後宮ニカがテーブルに向かい合って座った状態で終わるけど、カテコの音楽始まると宮ニカで一緒にリズムに合わせて指パッチンしててつい可愛い〜〜!!と会場で行ってしまいました。周りにいた方失礼致しました。

 

宮田くんの「手繋いでくれなきゃ話せない💕」もくっっそ可愛かったし、てか海っていつもトークあったの!?月一言も喋んなかったからそういうもんかと思ってたら喋るしは〜〜多幸感!!!!!!まあこの辺のレポはツイッターにゴロゴロあると思うので皆さん検索してみて下さいね!!

 

とにかく本当に素晴らしい舞台でした。実はちゃんと自分でチケットを取ってお金払って会場へ行って見る舞台というのはこれが人生で初めてだったので、初めてがまる末で良かったと心から思いました。

先に行った方々の「どっちも見たほうが良い」という言葉、海を見て本当だなと思いました。それぞれの舞台でスカッとジャパンレベルで伏線回収してスッキリ爽やかに見終えることはできるんですが、海を見て知ること、月を見て分かること、海と月が互いに補い合って完成する舞台だなと。航海では月の位置で時間を把握しますしね、きっとそういうことなんだと思います(どういうこと?)。星だっけ?それは方角か。

 

そんな感じなのでとにかく円盤化を頼みます。お願いします。もっと多くの人にこの舞台を見てもらいたい。

 

様々な願いを込めて。ぱにたん。